V Performance Lab

V Performance Lab 高速コースを走る

リック・マローンはネバダ砂漠の奥地にある小ぎれいな白い教室で演台に上って、11 人の男性と1 人の女性の方を見る。12 人も、こぼれるような笑みを浮かべるマローンをじっと見つめている。

その髪は漆黒、肌は太陽を存分に浴びて生きてきた人のごとく濃い褐色をしている。実際、ラスベガス出身の彼は、日の光を浴びてきた。レーシングカーのドライバーを引退して以来23 年間、ネバダで私たちのような人たちにハイパフォーマンスドライブを教えてきた。

「車の性能を一番向上させることのできるものが何か知っているかい?」とマローンは質問する。ありとあらゆる答えを頭の中で思い浮かべてみた。より大きなエンジンだろうか。硬めのサスペンションだろうか。それとも、もっと良いブレーキか。

「ドライバーだよ」と言って、マローンの笑みはさらに大きくなる。

私たち12 人は非常に恵まれた実験台であり、スプリングマウンテン・モーターリゾート&カントリークラブで開催されるキャデラックV パフォーマンスドライビングアカデミーの開始記念セッションに参加している。これは、2017 年型ATS-V セダンとクーペおよびCTS-V セダンの新規オーナーたちが11 月から12人1 組でやって来始める前に行われる、最初にして唯一のセッションだ。アカデミーの受講料はV の購入代金に組み込まれている。キャデラックのこの2 モデルのハイパフォーマンスカーのうち1 台を購入すれば、あなたも国内の最高峰の運転施設による丸2 日間の指導が受けられる。購入者の負担はラスベガスへの旅費だけだ。受講地のネバダ州パーランプはラスベガスから西に車で1時間行った所にあり、空港からは送迎が用意されている。

「車の性能を一番向上させることのできるものが何か知っているだろうか。ドライバーである。」

V アカデミーはオーナーに自分たちの車にどんな性能があるのかを教え、ますます増え続ける先端的な運転支援機能とその使い方を身につけてもらいたいと望んでいる。まずブレーキのかけ方、パドルシフトの使い方、車の制御とバランス、周囲の目視認知、判断・スピード処理について勉強する。

 

「これにはいくらか圧倒されるかもしれない」とマローンは語る。「しかし、そのうちに簡単になるはずだ。それは断言できる。」 それが終わると車の所へ行って、運転席の調節の仕方を学ぶ。

V アカデミーではまず、自分で知っていると思っていたことでさえ、実際には知らなかったということに驚く。例を挙げると、おそらく座り方が間違っている、ということだ。特に、ハイパフォーマンスカーを運転し、機敏に素早く反応するドライバーになりたいならば、これまでの座り方では間違っているのだ。マローンは私のシートポジションを見ると、ハンドルのところで手首が曲がるぐらいまで前に出させる。また、しっかりとブレーキを踏めるように、膝をもう少し曲げる必要があると言う。そして、膝が尻よりも上に来るようにシートを調整し、尻がちょうど収まるようにする必要もある。

 

もう一つ、皆がよく間違うのは、ウィンドウから前を見る時だ。
私もそうだが、ほとんどの人は自分の車のバンパーの先に目を留める。それは、進んでいる方向に目をやる必要性から生まれる習慣だが、退屈なことである。運転中は、時おり道を曲がる以外はまっすぐ進むだけなので、ほぼ自動操縦の状態になるのだ。V アカデミーの講師は、もっと油断なく運転する方法を学んでほしいと願っている。なぜなら、レーストラックでは、油断しているドライバーは衝突事故に遭うからだ。

舗装された広い土地に講師たちがコーンを並べ、その間を左右に大きく曲がりながらゆっくり進むようにと言う。それからもう一度同じことをさせるのだが、今度は目隠し状態でだ。まあ、目隠しのようなものだ。フロントウインドウに日除けの幕をかけるので、ドアウインドウからしか外が見えない。周辺視野を使って運転せざるを得なくなるのだが、これはレーストラックでは重要なことだ。また、あなたが思っている以上に、路上でも重要なことである。なぜなら、危険というものは左右から思いがけず襲ってくることが多いからだ。マローンは言う。「私たちは今、皆さんの脳を再訓練している。古い習慣を捨てさせているのだ。」

次にコーナリングの練習をし、続いて濡れた舗装路での練習がある。これはいかに簡単に車のコントロールが効かなくなるかを示し、そのような時にどうやって車のコントロールを取り戻せばよいかを示すためだ。運転支援システムをオフとオンそれぞれの状態にしてわざと車を横滑りさせるのだが、その違いはショッキングなほどだ。

(写真)講師から最後の説明を受け、リード・フォローの練習をする受講者たち。

最近の車に運転支援システムが装備されているのは、ドライバーが安全に運転するのを助けるためである。それが作動していても気づかない場合もある。たとえば、濡れた路上ではスリップを未然に防いでくれる。また、作動しているのが一目瞭然の場合もあり、たとえば特定の車輪にブレーキがかかっているのを感じたりその音が聞こえたりする。そういう時には学ぶチャンスだと講師が言う。「『自分はどんな間違いを犯したのだろうか』と自問してみることだ。『なぜシステムはスピードを落とすんだ』と苛立つのではなく。」 マローンの話では、新しい受講者にありがちなこととして、プロはそういったシステムを全てオフにするのだから、自分たちもレーストラックではそうすべきだと思い込むそうだ。

「『全てオフにしたら、スピードを上げられるんじゃないのか』と言うんだよ。」 含み笑いをしながら、マローンはこう言う。「そうじゃない。ただ速いスピードで衝突するだけだ。」

「自信は経験に伴って身につくものだ。2日目が終わる頃には良くなり始めている。」

受講者が皆、スプリングマウンテンに着くなりレーストラックで運転したくてうずうずしていたというのは確かだ。講師たちもそれを知っていた。だからこそ、丸一日を費やして私たちに基礎的技能を教えたのだ。受講者が何もないレーストラックでV に乗り込んだ途端に、その設計目的どおりに運転したがるとわかっていたからだ。つまり、信号や速度制限のある公道を走る時にはできない運転の仕方で。

スプリングマウンテンは、パフォーマンスカーの運転をするのに、アメリカ国内で最適の場所であろう。この332 エーカー(1.3平方キロ)のモータースポーツ施設には、52 通りの構成ができる6.1 マイル(9.8km)のレーストラックがある。その上、レストランとバーのあるクラブハウス、コンドミニアム(宿泊施設)、そして水晶のように澄み切った68,000 立方メートルの水をたたえる湖があり、湖岸ではパドルボードを使ったり、ジェットパックを体験してみることもできる。来年、スプリングマウンテンはさらに拡張する。レーストラックの9 マイル(14.5km)延長や、オフロードコース、ホテル、複合映画館も計画されている。

現在の6 マイルでさえ、アメリカでは最大のレーストラックである。ただ、一度にその全てを使うわけではない。通常は3 つのサーキットに分かれており、V アカデミーに割り当てられているのは西側にある1.5 マイル(2.4km)のサーキットで、10 のターンと2 つのヘアピンのある、技術を要する高速コースだ。

言わせてもらうが、これは十分すぎるくらいだ。アマチュアがレーストラックで運転するというのは、自分の身の丈を思い知らされる経験なのだから。初心者は皆、ブレーキをかけすぎたりハンドルを回しすぎたりするし、アクセルの踏み方も気まぐれすぎる。そうすべきでない時にガソリンを使いすぎたり、実際にはアクセルを目いっぱい踏むべき時にそうしなかったりということだ。

レーストラックでのレッスンは、まずリード・フォローの練習から始まる。全員一列になり、講師の運転する先導車についていくというものだ。講師は走行路を見せてまわり、いつどこで速度を落としたり上げたりすべきかの見本を示してくれるのだが、そうしながらもバックミラーで受講者を見ながらアドバイスをしてくれるのだから、大したものだ。

新しいV の機能の中でも特にクールなのはパフォーマンスデータレコーダー(PDR)だ。PDR はバックミラーに組み込まれた小さなビデオカメラを用いて車の前方を撮影し、それを様々なセンサーの得たデータと統合して、グローブボックスの中にあるSDカードに記録する。つまり、セッションのたびに受講者の走行が映像で記録されるとともに、速度やギア、制動力、ステアリング角といった関連データが残されるということだ。

こうして走行時の映像記録と関連データがあることで、講師は受講者がどのような間違いをしたかを即座に知ることができる。私の場合は、全てにおいて間違っていたが。こういった車は特にレーストラックではかなりの性能を発揮するので、一般道で多くの車に囲まれて運転するうちについた癖や危険な要素の全てを克服することは難しい。マローンは言う。「リラックスして。姿勢に注意を払うこと。肩が耳のあたりまで上がっていないだろうか。もし上がっていたら、少し深呼吸をしてみるといい。そんなに力を入れて握らないで。」

※本稿は、キャデラック公式マガジン『CADILLAC MAGAZINE VOL.3』より転載しています

それでも、自信は経験に伴って身につくものだ。2 日目が終わる頃には良くなり始めている。慌てずにブレーキをかけているし、コーナーでは以前よりも勢いを持続できている。車がコーナーでグリップをきかせると信じており、必要な時にパワーやトルクがなくなるのではと感じることもない。なぜならV にはその両者が常に必ずあるのだから。

これでヘルメットを返すのも最後になり、講師の一人が、どんな気分かとたずねてくる。いい気分だ、驚くほど気分がいい、と答える。

すると講師が微笑んで、ここで教わったことは全て、路上の運転にも当てはまると言う。「運転をしていて、頭の片隅に私たちが『目を上げて、ほら、目を上げて』と言う声が聞こえても、驚かないように。」

(写真)ネバダ州パーランプのスプリングマウンテン・モーターリゾート&カントリークラブにある特設レーストラックにてCTS-Vを交代で運転する。

V-SERIES

CADILLAC ATS-V/CTS-V

キャデラック レーシングの血統を受け継ぐ、究極の「V」

キャデラック「Vシリーズ」は、レーシングカーの血を引く、まさにレーサー直系モデルです。その性能の確かさは、サーキットでの活躍を見れば明らか。「革新的なテクノロジーをラグジュアリー・スポーツカーの世界に継承する」というキャデラックの伝統が、「Vシリーズ」の全車種に息づいています。

キャデラック ATS-V
V-SERIES

キャデラック ATS-V

レーサー直系のパワーを、ドライバーの意のままに。ツインターボエンジンとドライバーを中心に設計された機能的なインテリアが、日常のドライビングをダイナミックで特別な時間へと変貌させます。

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キャデラック CTS-V

ハイパフォーマンスとエレガンスを極めて高いレベルで融合。スーパーチャージャーによる強力なパワーと、素材から仕上げまで洗練と機能性を追求したキャビンがドライブに満足感をもたらします。ステアリングを握るたび、走る喜びに出会える一台です。

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